ウォーターカッターの原理、精度、材料、設備について
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超高圧の水流で素材を切断するウォーターカッター。熱影響がなく、多様な材料に対応できる加工方法として、製造業の現場で注目を集めています。本記事では、ウォーターカッターの基本的な仕組みから、設備選定のポイントまで、詳しく解説します。
北川鉄工所のウォーターカッターについて
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低価格モデル
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2軸制御ウォーターカッター
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5軸制御ウォーターカッター
北川鉄工所は、多様なニーズに対応可能な高品質なウォーターカッターを提供しています。X・Y・Z軸に加え、傾斜や旋回が可能な5軸モデルもラインナップしており、微細加工から大型部品の立体加工まで幅広い用途に対応可能です。
北川鉄工所のウォーターカッターについてさらに知りたい方は、こちらをご覧ください。
ウォーターカッターの基本原理
ウォーターカッターは、超高圧水を利用して材料を切断・加工する革新的な技術です。
その基本原理は、増圧機(超高圧発生ポンプ)を用いて水を加圧し、切断⽤⼩径ノズルから水を噴射して切断加⼯を⾏うというものです。
水にかかる圧力は約400MPa。水道水の約2700倍もの圧力を利用します。
加圧された水は、非常に小さなノズルを通して噴射され、噴射された水流の速度は音速の約3倍に達します。このような高速水流は、材料表面に対する強力な切断力を生み出し、材料の硬さや⼤⼩に関係なく⾃由な加⼯を可能にします。
ウォーターカッターの特徴
ウォーターカッターは、他の加工方法にはない多くの優れた特徴を持っています。
- 発熱:ウォーターカッターは加工時にほとんど熱を発生させません。
- 非接触:工具を使用しない非接触型の加工技術であることから、加工対象に物理的な力を加えることがなく、材料にストレスを与えずに切断することができます。
- 多用途:柔らかいスポンジやゴムから硬い金属や石材に至るまで、ほとんどすべての材料を加工することが可能です。
- 加工速度:専用のCAD/CAMソフトを活用することで、自由なデザインの図面を簡単に作成でき、複雑な加工にもスピーディに対応可能です。高品質な加工も即日対応できるため、生産効率が大幅に向上します。
- 作業環境:加工時に粉じんが飛散せず、作業環境を清潔に保つことができます。
他の切断技術との比較(レーザーカッター、プラズマカッターなど)
多くの切断技術は高温で材料を溶かすため熱影響が避けられませんが、ウォーターカッターは水を利用することで、熱変質や歪みを抑えた精密加工が可能です。
さらに、厚い材料や複雑な形状にも対応し、切断時の力が小さいため、薄い材料の繊細な加工でも歪みを最小限に抑えられます。
また、有毒ガスが発生せず粉じんも飛散しないため、クリーンな作業環境を維持できる点も特徴です。
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ウォーターカッターの種類
ウォーターカッターは、その加工方式に応じていくつかの種類に分類されます。
ピュアウォーターカッター
水のみを使用して材料を切断する方式で、最も基本的なウォーターカッターの形態です。
ゴムやスポンジ、薄い樹脂板などの柔らかい材料の切断に適しており、食品加工などでも利用されています。
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ポリマーウォーターカッター
ピュアウォーターカッターにポリマー溶液を加えることで、水流の収束性を向上させる方法です。
ポリマーの添加により、水の噴射がより安定し、加工能力・精度・速度が向上します。
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アブレイシブウォーターカッター
アブレイシブウォーターカッターは、研磨材であるガーネットサンドを混ぜることで、切断力を大幅に向上させたものです。
金属や石材、セラミックスなどの硬質材料や極厚材料の加工に適しています。
研磨剤を含む加工方法は、ペーザーカッターとも呼ばれます。
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ウォーターカッターのメリットとデメリット
ウォーターカッターは、その多くのメリットから、多様な分野で利用されていますが、いくつかのデメリットも存在します。
メリット
- 高精度な加工が可能
ノズル径が小さいため、複雑な形状や微細なデザインを加工できます。また、材料を重ねて切断することもできますし、高速加工にも対応できます。 - 熱影響がない
熱に弱い材料や樹脂、ゴムなどの加工にも適しています。 - エコフレンドリーで安全
加工中に有毒ガスを発生させず、粉じんが飛散しません。 - 多用途
柔らかいスポンジやゴム、硬い金属やセラミックスに至るまで、ほとんどすべての材料に対応可能です。また、3次元形状の加工や厚い材料の切断も容易に行えるため、多品種少量生産にも適しています。 - オペレーション
刃折れがないので、無⼈運転が可能です。
デメリット
- ランニングコスト
研磨材を使用するとランニングコストが高くなります。 - メンテナンス
高圧ポンプやノズルなど、ウォーターカッターの構成部品は非常に高い圧力や負荷にさらされます。そのため、定期的な点検と部品交換が必要です。 - 作業時の騒音
超高圧の水が噴射されるため、作業時に大きな音が発生することがあります。 - 切断面の傾き
素材の厚みによっては切断面に傾斜(テーパー)が生じることがあります。
ウォーターカッターの精度
一般的なウォーターカッターの加工精度は±0.1mm~±0.2mmで、複雑な形状や微細な加工にも対応可能です。また、熱影響がないため、加工中に材料が変形することがなく、正確な寸法を維持できます。
ウォーターカッターは、材料の硬さや厚さ、使用するノズルの種類、研磨材の品質、そして加工スピードが精度に影響を与えます。加工する素材に適した条件を設定する必要があります。
ウォーターカッターで切れる材料
ウォーターカッターは、柔らかい材質から固い材質まで幅広く対応できます。
ピュアウォーターカッター ポリマーウォーターカッター | アブレイシブウォーターカッター |
布地 | 鉄 |
ファブリック | ステンレス |
皮 | アルミニウム |
カーペット | チタン |
ゴム | 銅 |
石膏ボード | ガラス |
石綿 | カーボン |
グラスウール | ケブラー |
FRP | グラファイト |
ポリ塩化ビニル | ファイバーグラス |
ウレタン | アクリル |
ケブラー | 花崗岩 |
グリーンセラミック | 大理石 |
ハードボード | |
カーボンシート |
ウォーターカッターで切れない材料
ウォーターカッターは、幅広い材料を切断できますが、すべての材料に対応できるわけではありません。
切断が難しい材料
- 水溶性の材料
水に溶ける素材や紙は、加工後に変形したり膨張したりする可能性があり、仕上がりに影響が出る場合があります。 - 薄板ガラス・強化ガラス
薄板ガラスは脆いため、高圧水流によって割れたり欠けたりするリスクが高く、ウォーターカッターでの切断は推奨できません。
強化ガラスは衝撃が全体に広がるため、加工が困難です。
キタガワのコンパクトウォーターカッターで対応できる素材の詳細はこちら
ウォーターカッターの用途と業界別活用例
ウォーターカッターは、その特性を活かし、さまざまな用途で利用されています。
- 工業分野
高い精度と軽量化が求められる航空機の部品加工、自動車のような複雑形状、樹脂やゴムなどの加工、電子部品の微細加工や高精度加工も得意です。 - 建築・土木分野
石材加工や硬質材料の切断や形成に使用されます。コンクリート構造物の解体にも活用されています。 - 食品分野
冷凍食品やケーキの切断、果物や野菜の加工など、柔らかい素材の加工が可能です。刃物が必要ないため、衛生面でも優れています。 - 医療分野
手術用の精密切断工具として利用されることがあり、骨や硬い組織の切断に用いられます。熱による損傷を極力抑えながら、安全かつ正確な切断が可能です。
ウォーターカッターの設備の選定方法について
ウォーターカッターを導入する際には、設備が加工ニーズに合致し、運用面での課題がないことを確認することが重要です。
- 実際に加工できるかを事前に確認する
希望する加工が可能か事前に確認するため、購入前にテスト加工を依頼することをお勧めします。テスト加工では、切断面の仕がりや精度、加工速度などをチェックしましょう。 - メンテナンスの方法について確認する
高圧で使用するため、頻繁にメンテナンスが必要な部品があります。選定時は、メンテナンス頻度や部品の入手性、コストを確認しましょう。また、メンテナンス作業の内製化が可能であれば、ダウンタイムを短縮し運用コストを抑えることも期待できます - スペース的に設置が可能か確認する
ウォーターカッターの設備は一般的に大型で、設置には十分なスペースが必要です。メンテナンス作業ができるスペースも確保しましょう。
北川鉄工所のウォーターカッターについて
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低価格モデル
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2軸制御ウォーターカッター
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5軸制御ウォーターカッター
ゴム
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低価格モデル
シリコン
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低価格モデル
発泡体
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5軸ウォーターカッター
ウレタン
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5軸ウォーターカッター
北川鉄工所では、さまざまなニーズに対応するために幅広いラインナップのウォーターカッターを提供しています。
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また、導入コストを抑えたいお客様向けに、低価格帯モデルもご用意しています。
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